主食:舞台

フリーライターが語る舞台のこととか、散文とか。

パインソー「miLE」第2話の事。

去る2016年2月14日。

私は下北沢にあるシアター711で、北海道の劇団「パインソー」の「miLE」を観てきました。

このお芝居は、「れんぞくきかく」と銘打って、全部で3話構成の舞台になっています。

とはいえ、1日に全てを上演するのではなく、1公演につき1話。

物語は1話完結となっている為、どれか1つだけ観ても大丈夫。

でも、全3話観ると、全ての話が繋がる様になっています。

前回「namuH」という公演を観に行った時もそうだったんですが、お目当ての役者さんは何人かいても、観終わると、全ての役者さんが魅力的になるのが、パインソーのすごいところ。

【物語】

「HOLDER」と呼ばれる特殊能力を持った人と、その周りの人々の話。

第1話は現代、第2話はその少し先の未来、第3話は過去と遠い未来の話が描かれています。

【出演者(敬称略)】

赤谷翔次郎(山岸)、藤谷真由美(千代)、山崎亜莉沙(朝露こゆみ)、川井"J"竜輔(朝露博士)、小石川慶祐(百田etc)、渋木こうすけ(とあるHOLDERetc)、戸澤亮(柱谷)、小山めぐみ(翔子)、川本成(全話ゲスト)、葉山昴(2話ゲスト)

今回は、第2話の話。

 2話は、シリアスとコメディの配分がすごい。

2話ゲストの葉山さんが、まさかの役柄で登場、そして大人のおもちゃを振り回す(笑)

東京では「ちくわ」と言っていましたが、札幌公演ではゲストの方がそのものズバリの名前を出していたりとなかなかカオスだった模様。

渋木さんの役の名前を失念してしまったのですが、「あるところからたくわんが出せる」という能力を持ったHOLDER。

1話とはまた全然違った役柄を演じていて、すごいなぁと感心しきり。

2話は、戸澤くん演じる柱谷を中心に話が動いていて、ほぼ全ての出演者の方と絡んでいたのではないかと。

遊びのシーンも多くて、渋木さんがたくあんを食べて力を出すぞ!というシーンで、まるまる1本のたくあんを「もっと食べろよ」と口に押し付けていたりとか(笑)

 

そして、その裏で繰り広げられる、山岸と翔子の駆け落ち。

この流れは本当に切なくて、残酷。

HOLDERを管理する立場であった山岸と、「心を読めるHOLDER」で消えてしまった矢崎の代わりに山岸についた翔子。

HOLDER殲滅作戦で、最初に消されるはずであった翔子を愛してしまった山岸と、その気持ちを受け取った翔子。

当然、許される恋ではないから、逃げ出した2人。

そして、子供を出産。

HOLDERは出産をしてはいけないので、見つかれば処分されてしまうと知っていながらも幸せを選んだ。

 

このシリアスな展開と、コミカルな展開が交互にやってくる場面展開。

本当に幸せそうなめぐさんの表情に涙が溢れたかと思えば、渋木くんと戸澤くんで笑ったり。

一瞬で空気を変える役者さんたちの技術が凄い。

 

そして、幸せな空気も束の間。

山岸に恨みを持つ、翔子の親友、千代の「触れたものを時空に飛ばす能力」で、山岸が消されてしまう。

 

山岸と翔子の切なくて残酷すぎる展開にまた涙涙。

第1話で、自らの与えられたポジションを我慢して我慢して、しかたなくHOLDER殺しをしていた山岸に訪れた、幸せだったのに・・・。 

 

そして、柱谷は、HOLDER殲滅の為の装置のスイッチを持たされ、千代と翔子は対峙する。

この時の千代と翔子の迫力たるや。

 

そして、私がもう一つ好きだったのが、朝露親子のシーン。

なんとなく、こゆみは死を感じていたのか、父である博士にメッセージを遺す。

このメッセージを聞いている時の博士の表情にまた、涙。

Jさんはコメディもシリアスもどっちの引き出しも持っているからこそ、あの博士の何とも言えない存在感が出せると思うんだけれど、シリアスにぐっと攻めた時のお芝居が本当に好き。

 

以上が2話の感想です。

ボキャブラリーが貧困なので、同じ言葉を何回も使っていたりして、素晴らしさが伝わっているのか不安・・・。

語彙力が欲しい。