主食:舞台

フリーライターが語る舞台のこととか、散文とか。

パインソー「miLE」第3話の事。

去る2016年2月14日と17日。

私は下北沢にあるシアター711で、北海道の劇団「パインソー」の「miLE」を観てきました。

このお芝居は、「れんぞくきかく」と銘打って、全部で3話構成の舞台になっています。

とはいえ、1日に全てを上演するのではなく、1公演につき1話。

物語は1話完結となっている為、どれか1つだけ観ても大丈夫。

でも、全3話観ると、全ての話が繋がる様になっています。

前回「namuH」という公演を観に行った時もそうだったんですが、お目当ての役者さんは何人かいても、観終わると、全ての役者さんが魅力的になるのが、パインソーのすごいところ。

【物語】

「HOLDER」と呼ばれる特殊能力を持った人と、その周りの人々の話。

第1話は現代、第2話はその少し先の未来、第3話は過去と遠い未来の話が描かれています。

【出演者(敬称略)】

赤谷翔次郎(カツラハマ)、藤谷真由美(千代)、山崎亜莉沙(キヤ)、川井"J"竜輔(朝露博士・オザワ)、小石川慶祐(矢崎)、渋木こうすけ(様々)、戸澤亮(朝露秋武)、小山めぐみ(5)、川本成(全話ゲスト)、大堀こういち(3話ゲスト)

今回は、第3話の話。

3話に関しては2回観ているので、そこも交えて。

 ここに来て、赤谷さんが大きく方向転換(笑)

かなりぶっ飛んだ役になりました。

アドリブは大爆発だし、フリーダムだし。

山岸からのこの振り幅。すごい。

 

戸澤くんがやった役では、3話の秋武が1番好きかもしれない。

ダークヒーローな秋武。

あの薄気味悪い雰囲気と、姿勢の悪さ。

一番好きなのは、死を悟った父、朝露博士とのシーン。

悲しすぎる記憶を持ったまま死にたくない、だから記憶を消してくれと頼まれ、消した後の

「あなたの人生は・・・」

「私の人生は・・・」

「とても幸せな人生でした!!」

と、優しい嘘をつく秋武と、博士の表情に胸を打たれました。

他にお色気シーンなんかもあったりして、戸澤くんの新たな一面が見られました。

 

14日の3話はあるハプニングが起きました。

ゲストの大堀さんが、秋武に記憶を消され「私は誰でしょう?」となるシーンで、戸澤くんと、渋木くんが無茶振りをするのですが、その最中に、なんと大堀さんのズボンの股が裂けてしまったのです(笑)

最前列で観ていた私はすぐに気づいてしまったのですが、出演陣が気づいたときにはちょうど「アツアツの卵焼き」というとんでもない振りがされていました。

そして裂けている事に気づいた大堀さんが一言。

「(裂けているところを指して)ここが黄身です」

舞台上も客席も大爆笑でした。

 

3話では、矢崎が再登場するのですが、それ以外に小石川さんが演じた役がコミカル過ぎて、Twitterで「振り幅がおかしい」などの感想も。

中でも印象的だったのが、秋武とその同級生が訪れたHOLDER記念館の職員。

基本的に跳ねながら動き、動作と共に「ピョコッ」という効果音が付きます(笑)

彼もHOLDERで「聴力が通常の何倍もある」という能力だったので、ぼそっと言った一言を拾ったり、近くで大きい声で叫ばれた時に怒っていたりなど、すごくコミカル&チャーミング。

私、ギャップに弱いものですから、こんな役を見せられたらもう、大変です。

他にも、博士と秋武のシリアスなシーンに突然飛び出してくる死神(コスプレイヤー)や、地下に閉じ込められていた最初のHOLDERの子供「2」だったり。

そして、現代から1000年後の世界に矢崎が現れる。

岡峰によって飛ばされた先が1000年後の世界だった訳です。

1000年後の世界は、自我を失ったHOLDERの子供たちがただただ彷徨っている。

彼らは不死身だから、死ねない。

まとわりついてくる彼らが鬱陶しくて、矢崎が能力を使うと、「死ぬ事が出来るなんて」と神様にされる矢崎。

最後は、同じく自らを時空に飛ばした千代と矢崎、2人の話になるのですが、ラストの矢崎の「あぁ、またたくさん殺しちゃった」という台詞がすごく印象的でした。

何度考えても、私にはラストをきちんと理解できないのですが、この台詞から察するに、本当に2人は神様になったのかな、なんて思ったりします。

 

とまぁ、以上でmiLEの感想は終了です。

内容的に難しいかもしれないけど、DVDになったらいいなぁと思っています!!