主食:舞台

フリーライターが語る舞台のこととか、散文とか。

Dramatic Musical Collection Mバージョンの話

タイトル、公演名入れるとどうしても長いんで、「えーい、そのものずばりにしてしまえ」とこうなりました(笑)

一応、ネタバレを避ける為に千秋楽以降に更新です。

各バージョンごとの記事になりますので、お付き合いいただけると幸いでーす。

・Dバージョン

・Cバージョン

Dramatic Musical Collection 
2020年9月16日~9月24日
銀座 博品館劇場
出演(敬称略)
泉見洋平
東山義久
大山真志
法月康平
常川藍里
木村花代
DIAMOND☆DOGS

いろんなタイプの夢の国

事前のバージョン別解説で何となく勘づいていましたが、Mバージョンは夢の国の曲たち。

アニメとミュージカルが混在してましたね。

実は私、劇団四季の舞台を一度も見た事ないので、ミュージカルの方の曲は全く知りませんでした。
でも、プレイヤーの皆さんが素晴らしいので、その辺りは全く問題なしでした。

多分一番色んな顔が見られる

東山さんといえばダンスのお方ですが、Dバージョンではそこまで激しいダンスはありませんでした。

しかし、MバージョンM13の『僕の願い』に『それ』は突然登場しました。

薄明りの中、突然飛び込んできて激しいダンスを披露する白い衣装の男。
照明が暗いので顔が見えず「これは誰だ・・・?」と思っていると、舞台が明転し、それが東山さんだという事が明らかになります。

この時の東山さんは歌の世界観を表現するダンサーなので、一言も言葉は発しません。
しかし、そのダンスは溢れんばかりの『喜び』を表現していました。
解説によると、この歌は主人公である鐘つきのカジモドの憧れに満ちた歌。
「いつか外の世界へ」という憧れに胸を震わせるカジモドの心を表していたからこそ、あんなに嬉しそうに踊っていたのかと理解ができました。

曲中に東山さんが満面の笑みで、心臓の辺りをぎゅっと掴んでいる様な振りをされていて、それが非常に目に焼き付いています。

パワー&パワー

Mバージョンの『エメ』(パート振りの詳細はDバージョン記事へ)は大山さんだったのですが、一番力強さを感じるエメでした。

泉見さんの歌声にもパワーがありますし、そこに大山さんの声量が乗ってくると本当に力強い。

そして、『フレンドライクミー』。

大山さんご自身が大のディズニー好き、というのもあるかとは思いますが、エンターテイナーにステータスを全振りしたパフォーマンスはさすがの一言。

セットリストを見た時、楽しみにしていた曲の1つだったのですが、予想を遥かに上回る楽しさでした。

大山さんは『エンターテイナー』という言葉が本当によく似合います。

加速するアドリブ合戦

『劇場』(曲名)はさながらアドリブ合戦だったのですが、私がMバージョンを拝見した時には初日から日数も経っていたため、大分酷い事になっていました(笑)

それまでぴっちりした雰囲気が、グダグダした空気になるのもアドリブシーンの醍醐味。

意外だったのが、木村さんのエッジの効いたアドリブです。

東山さんを含めたDIAMOND☆DOGSの皆さんが何かやるだろうなという想像はしていたのですが、突然なぞなぞを出したり、10回クイズ(~って10回言って。というもの)を出したり何とも意外でした。

舞台の醍醐味

先日Twitterでもツイートしたのですが、私は舞台の醍醐味は、『日々の変化』にあると思っています。

もちろん、全く別物と言う訳ではなく、台本や演出に乗った上での『変化』という前提です。

これは舞台を複数回見る方には分かるかと思うのですが、自分のコンディションや相手(演者)のコンディションによって、ある場面が心に深く刺さったりする日があると思うんです。

それを強く感じたのが私がMバージョンを拝見した日の『影を逃れて』でした。

ヴォルフガングの悲痛な叫びが、ドンと胸に響いたのです。

東山さんは、雰囲気などから『強そう』と言われるのをよく目にしますが、重圧に押しつぶされる、であるとか、天才の孤独の様なものへの表現力がずば抜けている様に思っています。

Mバージョンは、夢の国の曲たちがテーマという事もあり、エンターテインメント性があって誰が見ても楽しめる様な作りになっていたのではないでしょうか。